前回の広報ブログで紹介させていただいたワークショップ企画(夏の刺繍編はこちら)。
今回は8月に行ったキッズデー(子ども参加型ワークショップ)について紹介したいと思います。
「親子で刺繍を楽しむ会」
今回参加してくださったのは、小学1年生、2年生、5年生の女の子とそのお母さまたち。
まだ学校では家庭科の授業もなく、刺繍は初めてというキッズもいました。
そんな中、講師アーティストのmioさんの丁寧で優しいレクチャーが始まります。
最初は緊張気味だった子どもたちも、ステッチの練習を進めるにつれて「できるんだ!」という感触を掴んだよう。カラフルな刺繍糸を前に興味津々な姿は、見ているこちらがワクワクする気分にさせてくれました。
5年生のお姉さんは、黙々と作業を進める姿が頼もしく、彼女の集中力の高さには小学生とは思えない力強さと可能性を感じました。
今回最年少の1年生の女の子は、刺繍する下絵を作る段階で、なんとも自由なイラストを描きはじめます。大人としては「これはどうやって刺繍すればいいのだ!? どう導くのが正解なの?」という不安を(個人的に)抱えたわけですが…
そんな心配は杞憂に終わりました。子どもって、自分なりにイメージを膨らませて、結局は成し遂げていく力を持っているんですね〜。彼女はオリジナルのイラストをどんどん縫い上げていきます。
とても照れ屋さんで、最初は俯き加減だった2年生の女の子。刺繍楽しんでくれるかな…とこちらも(個人的に)心配だったのですが、作業を進めるうちにどんどん口数と笑顔が増え、立ち上がって刺繍糸を選ぶ姿を見せてくれたときには、心の中で泣きましたよね(もちろん個人的に。嬉し涙を!)。
出来上がった作品はどれも子どもたちとお母さんたちの個性が溢れる仕上がりに。
それぞれの親子の作品を並べてみると、共通点がありました。それは、スマイルマークやハートマーク、星型など子どもたちが選んだモチーフを、全てのお母さんが自分の刺繍に取り入れていたこと。
親子のあたたかい絆を感じさせてくれたのも、私たちにとっての嬉しい収穫でした。
もちろん、はらぺこパブリッシングのワークショップですから! 最後のスイーツタイムにもこだわっていますよ〜。
大人用には、桃と紅茶ゼリーのパフェを、キッズ用にはオレンジゼリーを用意しました。
桃は白ワインとメープルで煮込んだコンポートだったので、子どもたちにはまだ早いかなと思っていたのですが…
お母さんの分もペロリと食べちゃう子どもたち♪
また、今回刺繍している子ども達から、想像以上のしっかりとした“意思”を感じられたのも、意外な発見でした!
ワークショップ後には、その日の感想などを伺うアンケートにご協力いただいているのですが、そこにはこんなお母さんの言葉が。
「こんなにも熱心にひとつのものに取り組む娘の姿を、はじめて見られたのが嬉しかった」と。
後日また、「控えめだった娘が、ワークショップの次の日も刺繍がしたいと黙々と縫っています」とご連絡をくださったお母さんも。
子どもたちの秘めた可能性を感じたのは、私たちだけではなく、普段身近にいるお母さんもだったと知ることができたのも、私たちにとって大きな喜びでした。
少し長くなりますが、最後に。
そもそもこの企画を立ち上げるきっかけは、作り手と読み手のコミュニケーションをはかる場を作りたいということだったのですが、キッズデーにはもう一つの目的もありました。
それは私たち編集に携わる人間の多くが感じている課題に関わることで、「これからの紙制作物、そして文字を紡ぐものはどんな消費をされていくのか?」ということ。
WEBメディアが発達し、雑誌や本などがなかなか売れない時代。もっというと、動画コンテンツやインスタグラムなどの画像投稿サイトによって、文章そのものの消費のされ方も変化していますよね。
私たちが学生時代に雑誌を読み漁ったり、気に入った雑誌は取っておいてまた見返したり、ときには好きなページを切り抜いたり、なんて今考えると面倒な作業を好んでしていたわけですが、今の時代を生きる若者はきっと違います。
はらぺこの代表・田中は「最近の若者は…なんてことは簡単に言えてしまうけど、それは言いたくない。きっと彼らなりの情報収集手段で、私たちが想像できない何かを得ているはずだから、それを私たちが理解しに行かなければ前に進まない」とよく言っているのですが、その通りだななぁ、と。
紙媒体や文章の楽しさをもっと知ってもらいたいという思いはもちろんありつつも、そのためには今の空気や若者たちの関心を私たちが知る必要があるのではないか?
じゃあ、将来を担う子どもたちと触れ合う機会を作ってみない?
そんなことから、キッズ参加型の1日を作ることになりました。
たった1日でしたが、今の子どもたちと触れ合うことができて感じたのは、子どもたちには無限の可能性があることと、その可能性を広げるのは大人次第だ、ということ。
「最近の若者は大丈夫なの?」なんて思う時間は、「若者の能力を引き出すために私たちは何をしたらいいんだろう?」という時間に変換していくことが、意味のあることなのだなぁと感じました。それに何より、その方が大人も楽しいですからね!
今回子どもたちがどんな風に物事に関心を持って、どんな風に取り組むのか。その過程を体感させてもらえて感じたのは、私たちにとっての大きな収穫でした。
これからのはらぺこパブリッシングのものづくりに大きな影響を与えることになりそうです。
もちろん、秋以降もキッズデーを開催する運びとなりました。
よりパワーアップした企画を計画中です!
決まったらまた告知いたします。
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